採点の現場ですが、それは予備校本社の一室でした。
答案の現物が日本各地からその部屋に届けられ、それを手分けして採点するわけです。
私は漢文を担当していました。
各人の答案を(1)から(5)まで順番に採点する、なんてことはしません。
30枚くらいの答案を手に取り、(1)なら(1)だけをバーッと採点するのです。それが終わったら(2)(3)と続け、全て終わったところで各人の合計点を出しておしまいです。
途中で、全然的外れな答案があったり、まっさらな答案があったりすると楽で嬉しいですね。
反対に、完全に〇の答案があったりするとそれもまた嬉しいものです。
悩ましいのは、ちゃんと理解できてるんだかできてないんだか判断しづらいもの、内容は合ってるが構文が違うものなどですね。
採点をしてみると、どのような答案が望ましいか分かります。
受験生時代にこのバイトをやるようなことがあったら、ちょっとは国語の成績が変わってたかもと思うくらいです。
まあ、模試の採点基準をちゃんと読んでれば良かっただけなのですが…
大事なのは、やはり具体性ですね。
採点の際には、○○という文言が入ってるか、が判断の基準となります。
抽象的な書き方だと「分かってるんだろうけどな~、点数はあげらんない」ということになってしまいます。
ですから、表現は具体的で明確な方がいいです。ただ、勘違いしてはいけないのは、「具体的に書く」と「具体例を書く」とは違うということです。具体例の多い答案は良い答案とは言えません。
できるだけ、明確に具体的に書こうとすると、必然的に分量が多くなります。
しかし、回答スペースは限られています。
ここで必要なのが、言いたいことを端的に言える表現力です。より、具体的に言えば、語彙力です。
具体例を上げれば「時代や世の中が変わる」と書くところを「時世が変わる」としたり、「前の世の中で使われていた時代遅れになってしまった方法」を「旧態依然とした方法」と書いたり。
語彙力と言っても、「読んでその意味がわかる」では不十分で自分で運用できなければいけません。単語帳を覚えたってこういう力はつきません。
国語で点数を取るために大事なのは、多くの質の高い文章に触れることなのです。
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